作成者別アーカイブ: TakahashiAkira

OPINION LEADER INTERVIEW
永島 計先生

人間の体のおよそ60%は、水分で占められています。体と水分バランスの崩れは、夏の熱中症だけでなく、デスクワークなど、日々の座りっぱなしの状態でも起こり、さまざまな悪影響やトラブルを体に及ぼし、トラブルを引き起こします。

座りっぱなしというのは、足に力が入っていない、筋肉を使っていない状態です。ふくらはぎは第2の心臓ともよばれる重要な部分であり、ふくらはぎの筋肉が弱ってしまうと、血流が悪くなってむくみやすくなります。特に、足を組んでいる人とパソコン作業の多い人はリスクが高くなるので注意してください。足を組むと、膝の裏にある静脈を強く圧迫し、さらにパソコン作業は、姿勢が前のめりになるので、股関節が曲がった状態になります。そうすると血流が心臓に戻らずに、下肢に血液が停滞しやすい状態を助長することになるのです。

さらに座りっぱなしだから汗もかいていないと思い、水分摂取を怠ると、血液粘度が強くなり、最悪の場合エコノミークラス症候群(肺動脈塞栓症)の危険にさらされることになります。

つまり、座りっぱなしは、血が巡らない、血液の質が悪くなる、この2つの状態を生み出すのです。これらの要因は、脳への血液循環にも影響を及ぼすと考えられ、仕事の集中力や判断力に影響を及ぼす可能性があります。

イオン飲料を含めて、1日に500Mℓのペットボトル3本分の水分をこまめに摂取。

こうしたリスクを避けるには、血をめぐらせるため、まず立ち上がって体を動かしたり、座っていても足のポジションを変えたり、ちょっとした運動をすることが必要です。つま先やかかとを基点にリズミカルに動かしてください。

そして水分補給は、喉が渇く前に常温の水分をこまめに摂取するのがポイントです。冷たすぎる水を飲むと、口や喉にある“かわき”のセンサーが、強い刺激のため潤ったと早くに勘違いしてしまい、脱水した分の6~7割の水分しか回復できません。目安としては1時間にコップ1杯ずつを継続的に摂取し、1日1500mℓ程度摂取するといいでしょう。

特に、飲み物の中でも、イオン飲料は、ナトリウムイオンの働きで、体内に水分をある程度保つ仕組みを持っているので、オフィスでの水分補給に適しています。 1日500mℓペットボトル3本分の水分を摂取するのであれば、そのうち少なくとも1本はイオン飲料にすることをお勧めします。

「座りっぱなし症候群」
予防/対策アイテム

オフィスでの座りっぱなしによる不調を改善するために、オフィスで、自宅でできる解消グッズをご紹介します。

オフィス向け

  • ストッキング・タイツ

    item_illust1

    足のむくみを解消するための段階的着圧構造のストッキングやタイツ。

  • クッション

    item_img_cushion

    オフィスチェアにフィットするようにつくられた低反発クッション。快適な座り心地で姿勢も改善。

  • イオン飲料

    item_img_ionwater

    ローカロリーで、水分とイオンをスムーズに補給できるイオン飲料で、体液のバランスを改善。

ご自宅向け

  • マッサージオイル

    item_img_aromaoil

    ハーブの成分が優しく足に働きかける、アロマテラピー作用のレッグ専用のオイルやジェル。

  • フットケア用品

    item_img_footcare

    足は疲れが溜まりやすく、フットバスやマッサージャーで溜まった疲れを癒してリラックス。

  • 入浴剤

    item_img_bathitem

    全身に溜まった疲れを温浴効果で和らげる。お風呂後の水分補給も忘れずに。

「座りっぱなし症候群」 の原因を知ろう

illust2

「座りっぱなし症候群」のさまざまな不調は、長時間の座りっぱなしによって引き起こされていると考えられますが、それは何故なのでしょうか?「座りっぱなし症候群」の原因は、大きく分けて2つあります。対策するには、原因の仕組みを正しく知ることから始めましょう!

原因① 血のめぐりの悪化

原因の1つ目は、血のめぐりの悪化です。座っている状態では膝を折り曲げたり、足をぶらぶらして力が入りません。さらに、足を組むと膝の裏にある静脈を強く圧迫してしまうため、血流が心臓に戻らず静脈還流が悪くなるからだと考えられます。つまり心臓に血が戻らず、体の下部に血流が溜まってしまうのです。

血のめぐりが大切な理由と、
座りっぱなしを避けるべき理由

原因② 脱水状態

2つ目の理由が、徐々に進行する「脱水」です。オフィスで座っていると、実は喉の渇きに気付いていなくても脱水がおこっている可能性があり、安静にしていても気付かないうちに500~600mℓ程度、体重の1%の脱水は起こりえます。自分で意識的に水分補給をしないと、脱水状態に陥りやすいといえます。

どうしてオフィスで脱水が起こる?
その理由

ここにも注意!意外なポイント

上記の2つの問題に加えて、「座りっぱなし症候群」のリスクを高める要注意ポイントがあります。例えば、筋肉の少ない女性は、体内の水分量も少ない傾向があるため、男性よりも注意を払う必要があります。また、脱水といえば夏のイメージがありますが、オフィスではむしろ冬でも脱水が起きやすい可能性があります。

「座りっぱなし症候群」 のリスクを高める
「意外なポイント」

「座りっぱなし症候群」 を予防しよう

illust3

「座りっぱなし症候群」の原因は、血のめぐりの悪化と脱水状態にあると分かりました。しかし、座りっぱなし自体はなかなか避けることができない現実があります。では、どのような予防が可能なのでしょうか?水分で出来ている体のことを理解しながら、効果的な対策をとれるようにしましょう!

水分と体液

体の半分以上は水分で占められており、この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たしています。座りっぱなしは、体液の一つである血液の循環を悪くするうえ、血液の質まで悪くしてしまいます。つまり、予防するには、体を動かして血をめぐらせることと、水分をこまめに補給することが有効です。

座りっぱなしのときこそ大事な水分補給

カフェインが多い飲み物で体液を失っている可能性も

オフィスではコーヒーやお茶がよく飲まれていますが、カフェインの多い飲料は水分補給のための飲料としては適していないとされています

お茶やコーヒーは水分補給にならない

対策① 足を動かそう!

血をめぐらせるためには、ちょっとした運動が有効です。特にふくらはぎは第2の心臓といわれるほど大切な部位で、ふくらはぎの筋肉が弱ってしまうと、血流が悪くなってむくみやすくなります。立ち上がって体を動かすほか、座っていても足のポジションを変えたり、つま先やかかとを基点にリズミカルに動かしてください。

オフィスでできる簡単リフレッシュ法

対策② イオン飲料で水分を効果的に摂取しよう!

水分補給は、喉が渇く前に常温の水分をこまめに摂取するのがポイントです。目安としては1時間にコップ1杯ずつを継続的に摂取し、1日1500mℓ程度摂取するといいでしょう。特に、飲み物の中でも、イオン飲料は、ナトリウムイオンの働きで、体内に水分をある程度保つ仕組みを持っているので、オフィスでの水分補給に適しています。

イオン飲料が水分補給に適する理由

血のめぐりが大切な理由と、
座りっぱなしを避けるべき理由

illust4

「座りっぱなし症候群」の原因のひとつは「血のめぐりの悪化」であると述べましたが、血のめぐりと健康はどういう関係なのでしょうか。また、座りっぱなしが与える影響とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

「静脈」の流れの善し悪しが健康を左右する

血管の種類は、動脈、静脈、毛細血管の3種類。そのうち、二酸化炭素や老廃物を回収して、送りだされた血液を心臓に戻す役割を果たすのが「静脈」です。体内の血液の多くは「静脈血」として各臓器にプールされたり循環しており、その量は、動脈に流れている分量の4倍とも言われます。ゆえに、静脈の流れが健康のカギを握っていると言ってもいいでしょう。

座りっぱなしは静脈還流を滞らせる

デスクワークをしていると、膝を折り曲げ、椅子に膝の後ろ側が圧迫された状態になります。こうなると、膝の後ろ側を流れる静脈の血流が悪くなり、余分な水分や老廃物は静脈やリンパ管に回収されにくくなります。そもそも、血液は重力の影響によって下半身に滞りやすくなっていますので、結果として、水分や老廃物がむくみとなって、特に足やふくらはぎに溜まってしまうのです。

調査事例

ニュージーランドで行われた調査(※)によると、同じ体勢で90分以上座り続けていると、膝の後ろに流れている静脈血流は50%も減少し、昼食もデスクでとり続けると血栓発症のリスクは2.2倍になるという結果が出ています。

(※) 出典:Aviat Space Environ Med; 75:500-504, 2004
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2144533/Lunchtime-heath-risk-How-quick-sandwich-desk-double-risk-DVT.html

座りっぱなしの時こそ大事な水分補給

illust7

予防に取り組むには、私たちの体に対する理解や、座りっぱなしのオフィスワークで起こりがちな問題点についての理解が必要です。

体重の6割が水分

水は、人間が生きていく上でもっとも大切なもののひとつです。体の半分以上は水分で占められています。体に含まれる水分を「体液」と呼びますが、この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たしています。

標準的な成人男子の場合、体液の量は、体重の60%を占めていますが、そのうち40%までが細胞の中にあり、残り20%が、血液(血漿)、リンパ液など、細胞の外に存在します。水分不足が起きると、細胞の水分が抜けることで肌のかさつきの原因になったり、血液(血漿)の量が不足してドロドロの状態となり、エコノミークラス症候群に繋がる血栓ができるなどのリスクを招いてしまいます。

illust8

座りっぱなしほど水分補給が疎かになりがち

当委員会で行った調査の結果から、座りっぱなし時間が長い人ほど、水分補給が不足していることが分かりました。1日の座りっぱなし時間が4~5時間の人は、必要な量を補給しているものの、6時間を過ぎると理想の水分摂取量からかけ離れていく結果に。8~9時間の人は、理想の量の80%程度、10時間以上の人は65%程度しか摂取していないのです。このことから、座りっぱなしの時ほど水分補給が疎かになりがちであると考えられ、意識的な対策が必要といえます。

実態① 20・30代の働く女性の
8割は2時間以上座りっぱなし

graph_1

20代、30代の働く女性にオフィスワーク中の座り時間を聞いたところ、2時間以上の人は8割近く(77.1%)にのぼりました。

オフィスワーク中の座り時間

毎日どのくらいの時間オフィスワークで座っているかを聞いたところ、平均で6時間13分座っていることが分かりました。

graph_syndrome2_2

オフィスワーク中の最長座り時間

1日の中で継続し座っている最長の時間を聞いたところ、中には17時間という驚くべき時間座ったまま仕事をしている人がいるという結果になりました。

このことから、長時間にわたっての座りっぱなしが日常的である実態が分かります。

どうしてオフィスで脱水が起こる?
その理由

illust5

「座りっぱなし症候群」の原因のもうひとつは「気付きにくい脱水」ですが、そもそもオフィスでどれほど水分が失われるのでしょうか。また、気付きにくいとはどういうことでしょうか。

なぜオフィスワークでも水分が失われるか

私たち人間は、尿・便で 1日約1600mℓの水分を排出するほか、汗でも放出します。しかし、これ以外にも目に見えない無意識のうちに失われる水分があり、それが、呼吸や皮膚から蒸発する水分「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」です。

皮膚から失われる水分は1日あたり約600mℓ、呼吸によって水蒸気として放出される水分は約300mℓと、あわせて900mℓにもなります。

これが、オフィスで座りっぱなしで運動もしていないのに感じる喉の渇きの原因のひとつです。

気付きにくいとはどういうことか

人は、喉の渇きを、口や喉の粘膜の乾燥や脳の視床下部の中にある口渇中枢により、からだの水分量が少ないことを感知して働きます。

喉の渇きに従って水分を補給すれば、水分不足にならないはずですが、オフィスでは仕事に集中するあまり、多少の喉の渇きに気付かず仕事を続けてしまう傾向があります。

「喉が渇いた」と感じる時には既に水分不足がかなり進んでいる可能性があり、これが脱水になりやすい理由です。オフィスの中でも意識的に水分補給をすることが大切です。

実態② 9割が 「冷え」 「肩こり」
「乾き目」 「むくみ」 などの不調

graph_2

 オフィスワーク中の体調についての調査では、「肩がこる」(60.3%)を筆頭に、「目が乾く」(37.1%)、「手足がむくむ」(33.9%)と続き、「あてはまるものはない」(10.7%)以外の約9割(89.3%)が何らかの不調を感じていることが分かります。

しかも、オフィスワークで座っている時間別でみると、座っている時間が長い人ほど「体がだるい」が高くなっています。

このことから、多くの人にみられる何らかの不調には、「座りっぱなし症候群」の可能性があるといえます。

「座りっぱなし症候群」 のリスクを
高める 「意外なポイント」

illust6

「座りっぱなし症候群」の2大原因である「血のめぐりの悪化」「気付きにくい脱水」のほか、「座りっぱなし症候群」のリスクを高める意外なポイントをいくつかご紹介します。

①【女性】男性よりも水分が少なく要注意!

筋肉は、他の部位よりも水分を多く蓄えます。脂肪は10~20%ですが、筋肉は75~80%が水分です。

一般的に女性は、その筋肉の量が男性よりも少ない傾向にあります。ゆえに、女性は男性よりも体内の水分量が少なく、脱水になりやすくため、より注意が必要です。

また、脱水状態になると血液の塩分濃度が濃くなり、薄めるために全身の細胞が自らの水分を差し出します。そのため、皮膚の細胞にも水分がなくなり、肌のかさつきにも繋がるため、女性の方は特に気をつけたいところです。

②【冬】冬でも水分補給に油断禁物!

夏は気温も高く汗を多くかくため、自然と水分を摂るようになりますが、冬は脱水に対する警戒心が下がってきます。しかし、乾燥の激しい冬は、不感蒸泄が増え、知らない間に体から水分が奪われていきます。

さらに、冬のオフィスは、気密性も高く、エアコンが効いていることで、屋外よりも10~20%湿度が低くなる傾向にあるため、オフィスワーカーの不感蒸泄はさらに高まっている可能性があります。

また、寒い季節には体を温めてくれる飲み物が欲しくなりますが、お茶やコーヒーには利尿作用を持つカフェインが含まれていますから、飲み過ぎは控えるべきです。

③【陽だまり】太陽の熱は渇きを速める!

「脱水症」は、炎天下の屋外で発汗を伴うような運動や労働をしたときに起こるというイメージが強いのですが、室内でも起こる可能性があります。

夏の場合、気密性の高いオフィスビルなどは風通しが悪く、体温が上昇してしまう可能性もあります。さらに、冬の室内は空気が乾燥し、水分が体から失われやすい状態になり、「冬脱水」に陥りやすくなります。

室内で特に気をつけたいのは、陽の当たる窓際。冬に日だまりで日光浴をするのはポカポカして気持ちが良いものですが、太陽からは輻射熱(ふくしゃねつ)という熱を受けることになります。輻射熱を受けるとさらに水分喪失が増えて「冬脱水」のリスクが高くなります。